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わが町の被災と感想

永 井 昇
(神戸市須磨区)

 

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私が永年住み慣れた神戸市須磨区の被災状況は、別表のとおりですが、関東大震災の年に生まれ、いわゆる年男の新年早々家屋全壊とは予想もしなかったが、幸いにも夫婦とも無傷で娘夫婦たちに助けられて、1日も避難生活を送ることなく今なお娘夫婦と孫とに囲まれて楽しい日々を送っておりますことは、家庭の絆がいかに大切であったか身にしみ感謝している次第です。
また、長年にわたり約 300世帯の自治会のお世話をしていたお蔭で、会員の皆さんとも離れ離れになりましたが、今だにお互い情報を交換し合い、助言等生活再建に努めさせていただいていることは、いかに人と人とのふれあいが大切かこの度の震災で体験し、今後も人間中心の社会づくりが最も重要課題と思っています。
私なりの感想として第1点は、自治会の法人化を速やかに図り、自治会活動(政治的活動は禁止)を充実して前項に述べたように人と人との繋がりを保ち、お互いに助け合い、いかなることにも対処できることが急務であると考えます。
第2点は、政治家を始め報道機関について一概には言えませんが、震災1か年半の取り組み方についてみると仮設住宅入居者に重点が置かれ、半壊、一部損壊世帯者に対する配慮が欠けているとの批判がささやかれております。例えば市道歩道側溝等の補修が遅れているため、市道等に面した家屋の補修ができないため、補修が遅れれば経費の負担が多くなる等不安家庭が多いと聞くようなことは、政治家(地元市会議員)がその実態を把握して施策に貢献すべきことが最も重要と考えられます。
津名郡北淡町長が何時か言っておられたように国会議員の被災地視察についても各党一堂に会して実施すればよいのに、個々に実施されるので、その対応に云々と、現地の状況をよく判断して実施すべきであると思います。
最後に、この度の震災に対しまして総務庁行政監察局始め管区行政監察局並びに兵庫行政監察事務所の皆様、全国行政相談委員の皆様から過分のお見舞金と多くの激励文を賜りましたことを、この紙上をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

(別表)

 

阪神・淡路大震災被災状況
(神戸市須磨区)
1 全焼世帯、半焼世帯 2,086 世帯
(須磨消防署)
2 全壊世帯 13,037 世帯
3 半壊世帯 8,290 世帯
4 一部損壊世帯 9,917 世帯
5 死亡者 393 人
6 行方不明 1 人
(注)全壊、半壊、一部損壊世帯数は、
罹災証明発行数

 

 

 

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